皆様こんにちは!
昔から神学や哲学において、神というものの実在やその属性に関して、また宇宙とか万物の大元は何かについて論じられてきました。
こうした問題は私たちの人生にとって指針となってきましたが、いまだに明確な解答を得られていない状況です。
今回の記事では統一思想からみた神観を以下の観点で見ていきたいと思います。
- 精神と物質
- 陽性と陰性
- 普遍と個物
統一思想の新しい神観
精神観と物質観
統一思想が主張する神とは
- 本性相とは、被造物の無形なる、機能的な、精神的な要素の根本的な原因となるもの
- 本形状とは、被造物の有形なるもの、物質的な要素の根本的な原因となるもの
それぞれ無形と有形の根本的な原因です。
神はこの2つの属性を持っていながらも、2つは分離しているのではなく、1つになっているということです。
唯物論は精神よりも物質が主体でありますが、どのように精神が生じるのは合理的に説明できませんでした。また唯心論も宇宙を形成する材料としての物質がいかにして生じるのか説明できませんでした。
アリストテレスは二元論を展開しましたが、神を絶対者と認めながらも、神と独立した物質世界を認めるという難点がありました。
デカルトは精神と物質の相互作用が説明できなかった。
神を認めてもそこからどのようにして精神と物質が生じるかということも説明できない難点がありました。
統一思想の神観であれば、神から精神と物質が生じるのであって、精神と物質は一つになっています。そして精神と物質は異質なものにあらず、精神にも物質的要素があり物質にも精神的要素があり両者は相互に作用するようになっているのです。
男性と女性としての神
東洋思想では宇宙の根源は太極である一元から陰と陽が生じて、そこから万物が生まれ、陰と陽が精神と物質に含まれているとされました。
一方で西洋思想には陰陽の概念はなく精神と物質の原理だけで論じられてきました。
実際に宇宙は陰陽で成り立っている側面もあるため神の属性として考えられるのであります。
陽性と陰性
神は「本性相と本形状の中和的主体」であると同時に、
「陽性と陰性の二性性相の中和的主体」または「本性相的男性と本形状的女性の二性性相の中和的主体」であると表現します。
神と被造世界の関係は、神は男性格主体で被造世界は女性格対象といいます。
さらに本性相と本形状は陽性と陰性の属性を持っているので、被造物は
- 「陽性を帯びた性相と形状の統一体」⇒ 陽性実体
- 「陰性を帯びた性相と形状の統一体」⇒ 陰性実体
に分立されます。
このようにした被造物は陽性実体と陰性実体のペアシステムになっているのです。
具体的に自然界を見てみると以下のそれぞれの次元において
- 鉱物 ⇒ 陽イオンと陰イオン 物理化学的次元
- 植物 ⇒ オシベとメシベ 生命の次元
- 動物 ⇒ 雄と雌 本能の次元
- 人間 ⇒ 男と女 愛の次元
陽性と陰性が現れており、何のためにあるかといえば、愛のために存在しています。
神は人間をモデルとして、低次の鉱物を造られ、植物、動物と上がっていき最後に人間を造りました。
普遍と個物の統一
もう一つ重要な普遍は実在するのかという問題があります。
普遍が先か、個物が先か
中世のスコラ哲学で一大論争となった普遍論争。
最初は「普遍が個物に先立ってある」というプラトン的な実在論が優勢でありました。
しかし、「普遍は個物の後にある」という唯名論が現れ、個々の事物のみが真の実在であって、普遍は作り出した単なる抽象物、名にすぎないというのです。
実在論と唯名論が対立します。
統一思想においては普遍性と個物性は統一されています。
神の性相の内的形状の中には「観念」と「概念」があります。
- 観念は具体的な表象 ⇒ 個別的
- 概念は抽象的、普遍的な表象 ⇒ 普遍的
神の心の中にある観念が被造物に対する個別相となります。
神の創造を考えてみると、
アダムとエバという具体的な姿を描いて、これは観念で
男とか女とか人間という抽象的、普遍的な考えを持っているのが分かります。
観念と概念がバラバラにあるのではなく、具体的な表象である個別相と、普遍性も含まれていて統一されているのです。
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